M&Aのデューデリジェンス(DD)では、資料の多さより、質問への回答と根拠、未確認の事項を結び付けることが大切です。沖縄企業の財務・法務・労務・許認可を、誰が何を確認したか追える資料索引にします。
一般的な確認手順です。取引方法や個別事情に応じて専門家・金融機関・所管窓口と確認してください。
資料の番号と回答窓口をそろえる
資料には番号、名称、対象期間、基準日、作成者、更新日、開示可否を付けます。質問回答表は、質問番号、担当、回答予定日、根拠資料、回答、残る課題を列にします。同じ質問に別の担当者が違う数字を答えないよう窓口を決めてください。
資料がない場合は、ないと明記し、代わりに確認できる記録と作成担当を示します。提出済みという状態と、調査担当が内容を理解・確認できた状態は別です。古い版を混在させず、訂正の理由と影響する回答を更新します。
四つの分野で根拠を照合する
次の表は一般的な社内整理の例で、全案件に必須の提出一覧ではありません。取引方法、業種、リスクに応じて調査範囲を決め、初期の検討資料と詳細DD資料を分けます。
表は横にスクロールできます。表へ移動して左右キーで確認できます。
| 分野 | 資料例 | 照合・担当 |
|---|---|---|
| 財務・税務 | 決算、月次、残高、売掛、在庫、借入 | 経理/税理士等:期間差、一時損益、未処理 |
| 契約・法務 | 株主、契約、資産名義、紛争・保証 | 管理者/弁護士等:対象、同意、期限、責任 |
| 労務 | 雇用、給与、勤怠、資格、配置 | 人事/専門家:記載と運用、未払、本人意向 |
| 許認可・現場 | 許可、届出、検査、変更・更新 | 現場/所管窓口:名義、基準、取引後手続 |
決算と現場の数字のずれを説明する
売上は請求・入金・提供期間、在庫は帳簿・実数・滞留、設備は取得・稼働・修繕を照合します。役員報酬や個人経費などの調整は、何を戻し何を継続費用として残すか、根拠と理由を記録します。見栄えのよい数字へ一方的に置き換えません。
観光関連は繁忙・閑散、休業・取消、物流は欠航や燃料、建設は工事進捗と追加変更など、年間合計に埋もれる動きを確認します。沖縄だから必ず季節性が強いと決めず、自社の月次と現場記録で確認してください。単発の大口注文と継続受注も分けます。
契約と人の資料は開示範囲を先に決める
従業員・顧客の氏名、住所、健康情報、契約相手の機密情報を最初から広く提出しないようにします。集計・マスキングで回答できる範囲を先に検討し、詳細を出す必要性、目的、相手、権限、安全管理、交渉中止時の扱いを記録します。
個人情報保護委員会の指針は、事業承継に関わる共有にも利用目的や取扱いの確認を求めています。NDAがあるだけで無制限に渡せると判断しません。雇用の承継は株式・事業譲渡等の方法で異なるため、労働契約と実際の条件を専門家へ示します。
発見した課題を条件と引継ぎへ結び付ける
調査で分かった課題は、内容、金額の根拠、起こり得る影響、対処、責任者、期限、契約条件への反映を並べます。未確認の債務、更新待ちの許可、退職意向の資格者を、単に資料提出済みとして閉じないでください。価格、実行条件、補償、実務引継ぎのどこで扱うかを専門家と相談します。
仮定の例として、月次売掛残高と取引先別明細の差が見つかった場合、経理担当が請求・入金・取消を確認し、差異理由と基準日を記録します。差があれば直ちに不正と断定せず、確認済みと未解決を分けます。新しい事実で前提が変われば、関連する回答と条件表も更新してください。
よくある質問
Q. 資料が足りないとDDを受けられませんか。
A. 不足を隠さず一覧にし、代替資料、確認担当、作成予定を相談します。重要事項が判断できない場合の扱いは、調査側と専門家に確認します。
Q. 全ての従業員・顧客データを提出しますか。
A. 必要性と開示段階を確認します。集計・匿名化を優先し、個人情報や契約上の機密は目的、取扱いと安全管理を個別に確認してください。
一次資料と関連ガイド
秘密保持・段階開示、確認担当と工程表で、関連する確認資料を整理できます。
編集責任:株式会社M&A Do/沖縄M&A総合センター編集部。個別の契約・税務・労務・制度の判断は専門家へ確認してください。
